5月5日、ブルネイ・メタノ−ル社(BMC)は、ブルネイで最初のメタノール・プラントを建設するために必要な資金を調達する融資契約を締結し、もう一つのマイルストーンを達成した。
年間850,000MTの生産能力を有するこの国際レベルのメタノール・プラントの建設費用は約4億米ドルである。プロジェクト全体では5億米ドル以上の総投資額になる。
このプロジェクトは巨額な投資を含んでいるので、BMC社はファイナンシング・アドバイザーの三菱東京UFJ銀行(BTMU)を通して、リミテッド・リコース“プロジェクト・ファイナンス”を成功裏に交渉した。
国際プロジェクト・ファイナンスは、ブルネイでは初めてのケースである。
5月5日に調印式がガドンにあるリズカン・インターナショナル・ホテルで開催された。
この調印式に来賓として、ペヒン・オラン・カヤ・スリ・ウタマ・ダトー・スリ・セティア・アワン・ハジ・ヤヒヤ・エネルギー大臣と甘利明経済産業大臣が出席した。
この調印式では、辻欣也BMC社社長、田波耕治国際協力銀行(JBIC)副総裁、及び岩田哲夫三菱東京UFJ銀行常務取締役の間で契約が調印された。 BMC社の株主を代表して、大平晃三菱ガス化学(MGC)会長、ハジ・モハメッド・ジャファー・ハジ・アワン・バカール・ブルネイ国営石油公社(ペトローリアム・ブルネイPB)CEO、ハジ・イスカンダル・ハジ・ヤヒヤPBペトロケミカル社(ペトローリアム・ブルネイの子会社)会長、丹羽宇一郎伊藤忠商事(ITC)会長も契約書に署名した。
株主J/V契約締結に続いて、株主であるMGC社、PB社、ITC社、及びJBIC社の間で公式交渉が2005年から始まった。
本プロジェクトのために、JBIC主導によるプロジェクト・ファイナンスでプロジェクトの約65%を融資する。JBICが70%受け持ち、残りの30%をBTMU、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行(SMBC)、スタンダード・チャータード銀行が提供する。
本契約調印式では、甘利明経済産業大臣がブルネイと日本との長い間の関係に触れ、ブルネイは日本に対して石油とガスの主要供給国であり、また他のどの国よりも長く日本へLNGを供給していると述べた。
「日本は官民双方で、私企業からの技術提供とJBICと民間銀行からの融資という形でブルネイにおける新規産業の設立に重要な役割を果たしていることを喜んでいる。」
と甘利大臣は付け加えた。
ハジ・ジャファー・ペトローリアム・ブルネイCEOは、スピーチの中で、JBICがプロジェクト・ファイナンスの知識と技術を提供してくれた協力の重要性を強調した。
「このような協力は、我々の計画を達成するためブルネイ国民の発展に重要である。この計画には、石油産業の上流部門、中流部門、下流部門での国内外でのビジネスを拡大することが含まれている。
これは、今後にやってくる多くの興奮する事柄への最初のステップである。我々は又、派生商品やシッピングといったこのプロジェクトから生じる他のビジネス機会を開拓するだろう。」
とハジ・ジャファーCEOは語った。
田波耕治JBIC副総裁は、本プロジェクトが日本へのメタノール資源の安定供給に寄与するので、日本側にとっても重要であると語った。
「ブルネイ・メタノール・プロジェクトが前進するために、JBICは様々な方法を駆使して、ブルネイ政府とスポンサーと共同で、本プロジェクトの建設とオペレーションを成功裡に行うためのサポートを提供する用意がある。」
と
田波副総裁が語った。
丹羽宇一郎伊藤忠商事会長は、ブルネイと日本の共同作業が大成功を収めるキー・ファクターなので、ホスト・カントリーとしてのブルネイとカウンターパートとしての日本との間で、努力、協力、理解が重要であると強調した。
つい最近、BMC社は本プラントの建設とオペレーションに必要な幾つかのプロジェクトの操業上の契約を締結したばかりである。
このプロジェクト・ファイナンス契約調印は、最終構成要素の達成を意味している。即ち、ブルネイで最初の国際レベルのメタノール・プラント実現へ向けての建設作業を開始するためにBMC社にとって必要な資金であり、2010年までにフル・ベースでの商業生産を達成する計画である。
(B.B.2007年5月6日)
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