6月18日、ブルネイ・ダルサラーム国と日本国は広範囲に亘る経済連携協定に調印した。これはブルネイと世界第2位の経済大国である日本にとって画期的な出来事となった。
ハサナル・ボルキア国王は、6月18日東京において、安倍晋三首相と会談を行い、本協定に署名した。
国王と安倍首相は、両国の安定、安全保障及び繁栄を更に強化するためには、どのように緊密に協働すべきか討議した。両首脳は又、両国の関係強化の為に、日本ブルネイ経済連携協定(BJEPA)が主要な原動力の一つになると、お互いに確認した。
また会談において国王は、安倍首相をブルネイに招待した。
会談終了後、国王と安倍首相はBJEPAに署名し、その後共同声明が行われた。
署名後の記者会見において国王は、日本政府及び本協定の企画・交渉に携わった人々に対して感謝の意を表明した。
国王は、
「両国間の強固な関係は、日本からの投資と、ブルネイからの石油及び天然ガスの供給によって築き上げられてきました。そして、今回のこの協定は、30年以上にわたる両国間の非常に価値のある協力関係をより強化し、今後も更に発展させるための機会となるべきです。BJEPA署名により、ブルネイと日本は現在“パートナー”であり、お互いにこの責任を担う事を期待していると共に、この新しい関係は両国民に良い結果をもたらすでしょう。」
と述べた。
本協定は、ブルネイにとって最初の二国間経済連携協定であり、ブルネイへの投資をより魅力的なものとし、物品やサービスの貿易分野で、新しい市場を増大させることを目的としている。
両国はまた、エネルギー、人的資源開発、能力開発分野において協力を促進させる予定である。
本協定は、物品の貿易、原産地規則、サービスの貿易、投資、エネルギー、協力、ビジネス環境の整備、税関手続き、総則、最終規定、紛争解決の11章に分かれている。
同日夜、国王は首相官邸で開催された安倍首相主催の晩餐会に出席した。この晩餐会には、国会議員、政府高官及び安西邦夫日本ブルネイ友好協会会長(東京ガス株式会社取締役相談役)が出席した。
共同声明において両首脳は、BJEPAが物品、サービス及び投資の自由な流れを円滑化し、両国間で民間部門のためのビジネス環境全般を整備することとなると述べた。また同時に、エネルギー、貿易投資促進、中小企業、農林水産業、観光、教育、人材育成、情報通信技術、科学技術、環境、知的財産、陸上輸送の分野において、能力開発等を通じて協力を強化することが、関係強化の主要な手段となると述べた。
また
「我々は、1984年の国交樹立以前から、特に石油・天然ガス分野を通じた経済的関係により、非常に良好な関係が築かれています。今日、日本はブルネイにとって主要な輸出相手国であるとともに重要な投資元であり、ブルネイは日本にとって石油及び天然ガスの重要な供給元です。
我々は、二国間関係を更に強化する多くの機会と可能性があることを確信し、我々の関係強化への責務に対する認識を新たにしました。」
と共同声明で述べた。
「国際社会の責任ある一員として、我々は気候変動に関する世界的な懸念を認識しています。また、現在我々が享受している汚染されていない環境を、将来の世代が引き続きその価値を理解して尊重することができるよう、環境保全とバランスの取れた持続可能な経済発展を確保することが重要です。よって、ブルネイは気候変動問題に対応するための戦略として日本が最近示した“美しい星50”を歓迎します。我々は、クアラ・ベラロングにある生物多様化センターが、有識者や民間部門との協力の下、日本の経験や知見を活用して、環境保全分野における研究の協力を期待しています。」
と更に述べた。
両首脳は、BJEPAが地域経済統合の強化に貢献すると確信している。
「地域における緊密なパートナーとして、我々は、特に日本アセアン包括的経済連携(AJCEP)の構築において日本アセアン間のパートナーシップをさらに強化する方針に変わりはありません。日本とブルネイは、東アジア包括的経済連携(CEPEA)に関する民間研究及び東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)を通じて東アジア地域統合を進めるため協働します。」
「本日、我々の取り組みの成果に立ち会うことが出来たのは、非常に大きな喜びです。BJEPAの署名は、我々の関係をより高いレベルのパートナーシップに引き上げるものであり、それにより更なる経済発展が加速されるとともに、両国民がより快適な暮らしが送れることとなるでしょう。我々はまた、BJEPAが民間部門の一層の参加と交流とを奨励するとともに、人的交流を促進すると考えています。」
と共同声明で追加した。
共同通信によると、これは日本がエネルギー規定をうまく取り込んだ最初の自由貿易協定(FTA)である。
(B.B.2007年6月19日)
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